正反対のホスピタリティ

デザイナーKです。

バイク乗りの中には小型(排気量51cc〜125cc未満)も所有している人がけっこう居るようです。
大きいバイクは乗り出すのが億劫、借りた駐車場がちょっと遠い、出先で駐車しづらい(駅の駐輪場などはたいてい小型まで)、通勤用・買い物用など、理由は様々なようです。

というわけで、私も例に漏れず増車することにしました。

雨の日用に(笑)。

今までのバイクはどれも160kg前後と軽く、品質の安定した国産だったので雨でも小雪でも走っていたのですが、今のバイクは260kg超と重い(つまり止まりにくい)うえ、雨天走行後のサビと電装系に不安g…ゲフンゲフン

雨一回でネジ錆びるんだもん。ハーレー…。水滴拭いたんですけどね?

せっかくなら価格・性能・利便性のバランスがいいものを…
と調べて行き着いたのがスズキのアドレス110というスクーター

スズキ『アドレス110』

生産はインドネシアですが設計は日本(だよね?)なのでその辺は割り切って…
といったところで探してみると、展示があまりないことが判明。
なんでも今年発売になったばかりの新型で初期不良のリコールがあったり、
インドをはじめアジア各国向けがメインであるうえに
日本でも売れ行きが悪くないこともあって品薄なんだそう。

と、ここまでが前置き。

購入にあたっては前回の大型店舗はハナから見送りで…
さてどうするか、ともんもんと考えていたのですが、ある日乗用車の半年点検があり、
その途中、ディーラーのすぐ近くの小さな自転車屋さんにずらっと4台も置いてあるではないですか。

とりあえず車を点検に預け、その足で入店し話を聞いてみることに。
対応してくれたのは30代くらいのオイルにまみれたツナギの兄さんで、
正直あまり人付き合いは得意ではなさそう。

『自転車屋さん』と思っていたのですが、入ってみると置いてあるのはバイクだけで、
数年前に改築してバイク専売に切り替えたとか。
そういえば道すがら懐かしい木枠だった店舗のガラスがピカピカのアルミサッシに変わって
『あ、キレイにしたんだな』、と思った記憶が。

目当てのアドレス110は動力性能は125ccと遜色ないとのこと、
安定性に優れる大径のタイヤを採用しているせいで
足元は少々狭いが他に気になる点もなくここで会ったがと購入を決定。

書類を作ってもらっているうちに親父さん?オーナー?と思しき初老の旦那さんが入ってきて、
こちらは兄さんと正反対にしゃべるしゃべる。

「今日はばあさん(誰?)の弟(だから誰?)の四十九日でねえ!大変なんだ行ったり来たりで!」

いやそれ答えに困る!

「ウチはよく売れるから優先的に卸してもらえるんだよ!だからほら4台もあるんだ!」とか。

「25km圏内かけつけ修理するよ!」とか「1,000円でオイル交換してるからさあ!点検もついでにやるから!」は3回ぐらい聞いた(笑)。

全く期待してなかったのですがサービスもいい(ざっくりしてるけど)ようだし、
兄さんはメカには強そうだし、親父さんは明朗快活だし、
飛び込みで入ったけどココで買えて良かったな、と思えるお店でした。

納車も早くて翌週には受け取り。平日なら翌日でもできるそう。
原付(125cc以下は登録上は原付二種といい、市役所で登録。50cc以下は原付一種)って住民票もいらないんだっけ?
親父さんの「25km圏内かけつけ修理するよ!」と「1,000円でオイル交換してるからさあ!点検もついでにやるから!」も納車時にまた聞きました(笑)。

ハーレー購入時の丁寧な接客もいいものですが、こういう人間味あふれる店もいいものだな、と思える体験でした。

でも雨の日用でごめんね親父さん…。大事に乗るからさ。

バイクに乗ったイケメソが私です


今回はだいぶ短くしました!1分半です。
BGMもつけました。

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※明日役に立たない豆知識

小型自動二輪車(こがたじどうにりんしゃ)とは、日本におけるオートバイの区分の一つで、道路交通法では「普通自動二輪車(小型)」、道路運送車両法では「第二種原動機付自転車」に分類されるものを指す通称である。具体的には排気量50ccを超え125cc以下または定格出力0.6kwを超え1kw以下のものを指す。

wikiより引用

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※もっと役に立たない無駄知識

普通「排気量125ccまで作っていいよ」と言われれば、製作上のバラツキも考慮して124ccあたりで作るもの、と思いませんか?
しかし、私のバイクを含め、近頃は110ccというバイクが増えています。

日本やヨーロッパでは125ccまでで税金や免許制度上の線引きがあり、これまでは125ccサイズのバイクが多くありました(実は日本では税金が数百円安い【90ccまで】という線引きもある)。
しかし、近年ではバイク離れと言われる通り、日本でもヨーロッパでもバイクが売れなくなり、では売れるところ向けに…となるのが当然の流れ。
本文でもちょっと触れましたが、この110ccという一見中途半端なサイズはメインマーケットとなる東南アジアで主流の排気量なのだそうです。
国内向けの数十年分が1年で売れるとか。

【安定性に優れる大径ホイール】も道路整備の行き届かない悪路での走破性を考慮したサイズ。
タイヤの小さな台車より自転車の方が段差を乗り越えやすい、と言ったらわかりやすいでしょうか。

デザインの話をすると、前述のタイヤの大きさはもちろん、本来二人乗りであるはずのシートがゴニョゴニョな人数が乗れそうにちょっと長めにできていたり、ポケット類のフタの省略など全体に構造が単純になっていたり、先進的なシェイプが好まれるということでカバー類や灯火類もエッジの効いた形状になっていたりします。

少し前に聞いた某社スクーターの話ですが、それまでステップの下に燃料タンクを置いて負圧だかポンプだかでエンジンに供給していたものを某国で生産する際に、生産品質だったか修理の都合だったかなにかでこれでは生産できないということで、シート下に燃料タンクを移し、重力で燃料が落ちるように構造が単純化され、そのせいで今までヘルメットトランクとして利用できていたシート下が利用できなくなった、ということがあったそう。

現地向けだったり現地生産だということは、現地で要求される構造が直接外観・形状・シェイプに影響(本来デザインとはそういうもの)するバイクにおいては、本来日本国内で好まれるデザインが作れず、ますます売れなくなる、というスパイラルに陥る可能性を秘めたお話ではあります。

今のところ東南アジアマーケットで売れている110cc~250ccクラスのバイクでの話ですが、大型バイクや四輪車、さらに言えばスマホやPC、その他の工業製品にも同じような話が今後出てきそうなところか?と思ったら、ホンダが新型のバイクから一部熊本に生産を戻すという話が出てきて Made in Japan 復活の兆しも出てきたのかな、ということで蛇足はここまでとしましょう。

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