ネット検索で済ますいまこそ見直したい「記者ハンドブック」のすすめ

ネット検索で済ますいまこそ見直したい「記者ハンドブック」のすすめ - 広告生活

机の前に辞書をずらりと並べていたのも今は昔。
ネットの登場によって、広辞苑、和英・英和・英英辞典、類語辞典、ネーミング辞典、現代用語の基礎知識・・・、すべて検索で済ますようになってしまいました。

ところがネットで調べたことって、100%正しいという保証はどこにもありません。
「ネットに書いてあったから」といっても「じゃあ仕方がない」ということには絶対になりません。

信頼性からすれば、やはり印刷物に頼った方が確実です。

正しい表記のガイドラインは、もちろん専門分野ごとの辞書なのですが、私がコピーライターになった頃は、辞書と合わせて必ずチェックしていたものがあります。

それは、共同通信社発行の「記者ハンドブック」。

新聞記者が記事を書くときの、日本語表記のルールブックです。

いつの間にやらその存在すら忘れていました。当然持っているはずなので、探したのですが見つかりませんでした。
まぁ、20年以上前に購入したもので、日本語表記のルールも変わってしまっているので、「新しいものを購入するか」と思ってamazonでチェックしたら、今年、5年半ぶりに増補大改訂。13版2016年3月24日発売。

改訂されたばっかり。これは即買い。

amazonでポチッとしよう・・・としたら、なぜか2週間から4週間待ち(現在は一時的に在庫切れ; 入荷時期は未定)。なので、楽天で購入しました。

記者ハンドブック 第13版 [ 一般社団法人共同通信社 ] 一般社団法人共同通信社刊 記者ハンドブック 第13版の写真
 

「ぢ」「じ」、「づ」「ず」の使い分けや送り仮名の付け方、カタカナ表記から、モノの数え方、地名の表記といった文章表記の基本ルールはもちろん、新聞(以下、新聞=共同通信社)ならではの言葉への気遣いが網羅されています。

漢字表

2010年内閣告示の常用漢字表2136文字から、なぜか7文字を使用せず、掲載されていない8文字を追加。さらに常用漢字表にない読み方をする文字と、常用漢字表にあっても使わない訓読み、常用漢字表にない漢字として旧国語審議会が作成した表外漢字字体表、人名用漢字など、新聞に使用できる漢字が網羅されています。
ここまで国語表記にこだわっているのは、ライターとして見習うべきところです。

橋本龍太郎が総理大臣だったとき、新聞に合わせてチラシに「竜」太郎という表記をしました。「龍」という文字は常用漢字ではないため新聞では使用していないのです。クライアントから誤植だというクレームが来ましたが、記者ハンドブックのルールに従っていると言って、納得してもらいました。今思うと「龍」を使っておけばよかったのですが。漢字一つ選ぶにも、細心の気配りが必要なのです。

誤りやすい語句

明らかに間違っているものだけでなく、新聞では適当ではない言い方を上げています。

(台風の)当たり年→多い年
[注]「当たり年」は収穫や利益の多い年、転じて縁起の良い年。

雨模様
[注]本来は雨が降りそうな状態のこと。最近は「降ったりやんだり」の意に使うことも多い。両様に解釈できる表現は使わず「曇り空の下」「小雨が降る中で」などと具体的に書く。

差別語、不快用語

使う側に意識がなくても、当事者にとっては重大な侮辱、差別、いじめにつながることがある差別語。心身の障害、職業、歴史的記述、飲酒、民族、地域の表記など、その文言の歴史的背景までを踏まえ、特に気を付けたい言葉の言い換え一覧が掲載されています。

外人墓地→外国人墓地/町医者→開業医/サラ金→消費者金融/床屋→理髪業/父兄→保護者

登録商標と言い換え

これも、広告を作る上で知っておきたいもの。登録商標とは、特許庁に登録されていて、商標権者が独占的に使用できる名称で、一般名称として使用すると問題を生じる恐れがあります。特に商業文(広告)や公共性の高いもの(官公庁の発行している印刷物等)に関しては、言い換える必要があります。

糸ようじ→糸式ようじ/ウォシュレット→温水洗浄便座/
ジャグジー→ジェットバス/Vシネマ→ビデオ専用映画


「記者ハンドブック」は、すべてのライターのバイブルです。
ネットで調べて出て来ない言葉は、ほとんどありません。でも、個人のブログはもちろん、wikiペディアや企業サイトですら、そこに書かれていることが100%正しいとは限りません。
「記者ハンドブック」に掲載されていれば、言葉に関して一番権威のある新聞メディアのお墨付きなわけで、100%正しいと言い切れます。
記事の書き方やフォームなんかも載っていて、読んでいるだけでもためになり、文章が上手になった気がする。なにより、持っているだけでプロのライターっぽい。
文章を書く機会が多い人には、ぜひ参考にして欲しい一冊です。

それにしてもコピーライターとして、ページをめくるごとに言葉に対する意識が低すぎたことを思い知らされます。
まだまだ、勉強しなくては。